では、本人に通知または公表するのは、目的だけでよいか。あなたがウィンドショッピングをしていたところ、店員が近づいてきて、突然こう話しかけてきたらどう思うだろうか。
「お客様、あなたの個人情報は、〇〇の目的に利用しますので、あしからずご了承ください。では、ごきげんよう。」。
いやちょっとまて、とあなたは思うだろう。その店員にいろいろ言いたいことは出てくるだろうが、まず尋ねるべきことは何だろうか。「私の個人情報だって?何を取得したんだ。」だろう。
個人情報保護法上、個人情報取扱事業者が本人に通知または公表しなければならないのは、利用目的だけのように見える。しかし利用目的を通知する以上は、当然、取得した(する)個人情報の内容を通知または公表しなければならない。そのことが法文に書いていないのは、会員登録させたり、アンケート用紙や応募用紙を投函させたりする等の場合、提供した個人情報(たとえば氏名や住所、生年月日など)は何かを本人が承知しているので、あえて告知・公表を義務づけなくてよいからである。
しかし、取得された個人情報が何かを、本人が分からない場合もある。カメラがその典型だ。かつては、カメラは画像を撮影するものと決まっていたが、現在は違う。放熱量や放射線量を記録しているかもしれないし、歩容や虹彩を記録しているかもしれない。このように、取得された個人情報が何かを、本人が分からない場合においては、個人情報取扱事業者は本人に対して、いかなる個人情報を取得した(する)のかを、告知または公表しなければならない、と解するべきであろう。
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